因縁の対決といってもおかしくない開幕カードとなった。
昨年、春は立大が秋は早大が勝ち点を上げており、全てが僅差の試合。
秋の3回戦は、今日のスコアと全く同じ1−0である。
先発したのも和田と多田野だった。偶然にも和田が打たれた安打も同じ4。
2002年はまず、和田が先に勝ち星をあげた。
奪三振は多田野の方が多いし、被安打数も同じである。
2時間7分の試合の中で、どうやって、この好投手から点を奪えばよいのだろう。
私はここで、そのきっかけを作った青木にスポットを当てたい。
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壮絶な投手戦となった。4回頃を過ぎると「1点で勝負が決まる」と思った。
両エースの意地と意地のぶつかり合いでキャッチャーミットを鳴り響かせる。
ともに打たれたヒットは4本だが、そのうち3本が同じ選手からだった。
立大・徳田(如水館) 昨秋は代打で出場し、和田から勝ち越し打を放っている選手である。
今日も7番ながら一人元気で、追いこまれてからのバッティングが見事だった。
早大・伊藤(秋田商) 多田野との相性が良く、今日もレフト、センター、ライトに打ち分けた。
しかし、それ以外の選手が打てない。何とか四球でランナーが出ても
両エースには歯が立たない。立教は5回、無視からその徳田が出塁し絶好のチャンスを迎えた。
が、2者連続のバント失敗。7回には3塁までランナーが進むも、代打・出口が
和田の130`台後半の球に抑えられ投手ゴロに終わった。
こんな感じで立大は1、2、9回を除き、ランナーを出していた。
早稲田は野手選択で出た選手と伊藤しか出ていなかった。
きっと、ナインはわかっていたと思う。伊藤までまわせば何とかしてくれるだろうと。 |
いよいよ、9回まできてしまった。スコアボードには見事に「0」だけが並ぶ。
昨秋の3回戦の再現のようだ。
バッター青木。2球目を3塁線へ意表をつくバント。必死に走ってセーフになる。
無死1塁、もしここで後続が内野ゴロになって併殺になってしまったらチャンスは一気につぶれる。
鳥谷の3球目で、すかさず盗塁を決めた。正直、凄くカッコ良かった。
塁に出る方法はいくらでもある。綺麗なヒットじゃなくても、わざわざ四球を選ばなくても…
青木には足がある。その足をいかしての出塁と盗塁、お見事でした。
予想通り(?)、鳥谷、比嘉は内野ゴロだった。その間に進塁し2死3塁で
打席には伊藤が入る。2ボールから打った球は、ショートとセンターの間にぽとりと落ちた。
立大のショート・岩村が必死に手を伸ばしたが、届かなかった。
青木がホームイン。これが決勝点となった。やっぱり伊藤は多田野と相性が良い。
ピンチランナーで伊藤が早大ベンチに戻ってくると、3塁側からは温かい拍手が沸き起こった。
伊藤も凄いけど、個人的には青木の好走塁もあった。いい仕事をしてくれた2番打者だった。
試合終了の瞬間、立教の3塁コーチャーがその場に座りこんでしまった。
ベンチからも「あー…」と落胆の声。礼をして戻ってくる選手の悔しい表情。
対照的に、早稲田のベンチから手を叩きながら走ってくる控え部員の姿。
和田はさわやかな笑顔で、そして多田野は無表情で、グランドをあとにした。 |