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優勝するために
学生コーチになった

阿比留 一樹
明治大学・学生コーチ

「王座奪回」をスローガンを掲げ、12季ぶりに
優勝を目指す明治大学。
そこには4人の“学生コーチ”がいる。
学生コーチ、監督・コーチと選手のパイプ役として
チームには欠かせないもう一つのポジションだ。
昨年、早稲田大学の学生コーチが連盟から
表彰されるなど、その存在に注目が集まっているが
阿比留さんは、選手から転向しての就任。
開幕を前に、その仕事やチームのことを聞いた。



阿比留一樹
(あびる・かずき)
背番号29 政治経済学部4年
明大中野八王子高時代に夏の大会で準優勝し
自身も3番レフトでHRを放つなど活躍。
入学後から選手と同時にデータ班も担当し
昨年10月から学生コーチに就任。
授業の方は「大丈夫」だそう。

――学生コーチになったのはいつからですか?
去年の10月からです。それまでは選手でした。
3年の夏過ぎまで、自分がなるとは思っていなかったです。
誰も学生コーチになる人がいなくて、自分からなりました。
(そういう役職が)空いていて、しかもチームに貢献できると思って、1週間くらい考えました。
川口コーチ(現・監督)に、ちょっと悩んでいるんですけどと相談して
「頼むよ」と言われて正式に決まりました。
――実際に就任されてどうでしたか?
最初のうちは、仕事の内容と流れをつかむので精一杯で
まわりもあまり見えない状態が年末まで続きました。
年を明けてからは、慣れてきたと思うんですけど、でもやっぱりまわりに迷惑かけてて・・・
段々慣れてきましたけど。
――学生コーチになって、変わったなと思う部分はありますか?

前までは、野球に入れない部分があったんです。
去年も春休みは頑張ろうと思ったけど、リーグ戦と同時に学校も始まって
野球に対して気持ちが薄くなって・・・でも、夏休みに入ってまた頑張ろうと思って。
その繰り返しだったんです。

勝ったときは、素直に嬉しい!

――学生コーチをやっていて良かったことは何ですか?
試合で勝ったときが一番嬉しい。野手中心に見ているので
ヒット打って、たくさん点が入った試合とか、
あとは3塁コーチャーもやっているので、自分がまわして点が入ったときは
本当に嬉しいです。自分が選手だったら、自分が結果を出していないとチームが勝っても
納得できない部分があるんですが、今はチームが勝ってくれると
純粋に、素直に嬉しいですね。
逆に、自分が選手としてできない分、試合に負けたときの悔しさを
どこにぶつけていいのかわからないときもあります。
――逆に辛かったことはありますか?

・・・選手に、言いたくなくても言わなきゃいけないことがあるんですよ。
あとは、下級生のことを中心に見ているので
どう言えば、下級生たちがちゃんとやってくれるのかなとか。
基本的になるべく言わないでいこうと決めているんですけど・・・
――のびのびやらせたい?
ん〜なかなかそうもいかないんですよね(苦笑)
結構厳しくやっているつもりです。
自分がやられて嫌だったことはやらせていないですが。
でも、学生コーチになってはじめてわかることも下級生にはわからないので。
嫌われ役ですから(笑)

データ係の経験が、今にいきている

――下級生時代から他大の試合に制服姿で見に来ていましたよね。
1年のときにデータ係に選ばれたんですけど、みんなやりたくないので
どんどんいなくなっていって(笑)結局2年は二人だけしか残らなくて
3年は一人でずっとやってました。
データでも数字的なことは下級生がやって
「この投手はこんな投手」といったコメントを自分がつけてました。
この経験は今にいきてますね。
試合中でも、このピッチャーはこんなピッチャーだとすぐに言えるので。
今の野球部の中で、誰よりもリーグ戦を見てきている(入学以来ほぼ全試合)ので
それが自信になっています。
――でも、その頃はまだ選手だったわけで、練習出たいなと思いませんでしたか?
みんな練習してるのに、データ取りに行ったりしていたので
それはしょうがないと思っていました。
――練習メニューはどのように決めていくのですか?

川口監督と善波コーチ、後藤コーチが思い描いているメニューに
あと選手に近い学生コーチの意見を取り入れて話し合いますが
だいたい監督の意見が8割になりますね。
――技術的な指導はするんですか?

する選手、しない選手があります。
例えば、西谷や田中嗣には言わないですけど下級生には言いますね。
――中学生や高校生に指導してみたいと思いませんか?
してみたいとは思いますが、優勝するために学生コーチになったので
指導力を身に付けたいとかそういうのは無いですね。
ただ、社会に出て今やっていることが役に立つとは思います。
例えば、どういう言葉で部員(人)を動かすのかや
人によって言い方を変えてみたり。
寮生活も掃除だったり全般的に見ていかなければいけないので。

勢いのあるチーム

――今年のチームはどんなチームですか?
そうですね。勢いのあるチームだと思いますが、波が大きい(笑)
爆発力はあるんですけど、ダメなときはとことんダメという感じです。
それはオープン戦でも出てますね。
波があるのも良いところだと思うんですけど。
――打倒・早稲田という気持ちは強いですか?
優勝したいです。打倒早稲田というよりも、優勝です。
でも、今日みたいな試合(先制したのに逆転負け)をしていたら無理だと思うし・・・
社会人みたいな強いチームに勝ったときの勢いがあれば
優勝できると思います。
――勢いというのは具体的に?
打線が繋がる、ということですね。あとは先制すると勢い乗れます。
一人二人の選手で変わるチームじゃないと思うので
一場頼りになってしまうかもしれないが、誰か頼みは無いよう
みんなで勝っていくというチームだと思います。
――試合中は、選手たちにどのようなアドバイスをしているんですか?
コーチャーボックスに行く前に、次のバッターに「この投手はこういう選手だよ」と伝えたり
内野の守備のことは内野手の方がずっと知っているので言いませんが
それ以外のことは積極的に言っているほうだと思います。
――では、阿比留さんが試合で心がけていることは?

3塁コーチャーとして、自分も一緒にスタートを切ってみたり
ランナーの目線になって指示を出すようにしています。

 

  東京キャンプ中の1日のスケジュール 

5:00

5:30

6:30

7:50

12:00

17:30

19:30

20:30

23:00

起床

全部員ランニング

朝練終了

大型免許所得のため八王子の教習所へ 

グランドへ戻る

下級生の練習が終わるまでグランドに

夜間練習

監督と翌日の練習メニューを計画

就寝

 チームメイトから見た阿比留さん  

「就任してから目つきが変わり
しっかりしてきました」

「よくまわりを見ているなというのが
伝わってきます。
でも、たまに自分の世界に入っています」  

 

まだチームメイトから労いの言葉をかけられたことはない、という。
「今は練習に対する不満が多いと思う」と笑ったが
「いつか言われるように頑張ります!」と顔を引き締めた。
4月17日から、三塁コーチャーボックスに、背番号29が立つ。
1点のために、勝利のために、優勝のために―――

 

 

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