トップ野球部訪問記肥州の旅>長崎海星高校野球部

創部90年

長崎海星
    高校野球部

 長崎県長崎市。
長崎市街から車で約1時間。長崎半島のちょうど真ん中あたりに
昨秋、海星高校のグランドが完成した。
ネット裏からレフト側にかけては天草灘(橘湾)が広がり
天気が良いと島原・天草地方を眺めることができる。
センター122m、両翼100mの立派なグランドには
もちろん照明設備も完備。
しかし、如何せん「遠い・・・」と首脳陣は声を漏らす。
授業が終わると、バス2台(30人乗りと50人乗り)での移動。
私も市街地から数時間に1本というバスに40分乗ってやって来たが
一番近いバス停からグランドまでつづく坂道を登ると、汗だくになった。
(選手のみなさん、冬場はこの坂道で鍛えれば最高だと思います)

長崎といえば、野球よりもサッカーやラグビーのほうがインパクトはある。
事実、県内に中学生むけのラグビースクールは14もあるが
シニアチームは3つしかない。
学校数とのかね合いもあるが、長崎の高校出身プロ野球選手も
一番最近で中村隼人(長崎日大93年度卒-創価大-ホンダ-日ハム-巨人、)と
10年以上出ていないのだ。
春夏通じて一度も決勝進出がない長崎。意外だがラグビーも優勝はまだ。
先に深紅の優勝旗を持ち帰るのは――野球であってほしいと思う。


グランドふもとの海水浴場。うっすら見えるのが島原と天草

この日は学年末テスト最終日。
やはり選手たちの表情は明るく、久々にボールを握れることもあり
「今日は嬉しいそうに練習してるだけあって笑顔が多い。
これも今日だけですけどね(笑)」
実はこの日初めてグランドにやってきた加藤慶二監督。
昨夏後、休養中だったがちょうどこの日復帰されたのだ。
学校では保健体育の先生。コーチで海星OBの野口等さんも国語の先生と
日ごろから部員と接してきている。二人とも30代前半とまだ若い。
 チームの練習を仕切るのは、5人の学生コーチたちだ。
用具の準備から、ノッカー、バッティングゲージの後ろでは
まるで監督のように「右方向意識していこう!」とゲキを飛ばす。
練習後、選手がダウンをしていると、5人は用具を片付けつつも
グランド内に石ころを見つけては拾っていた。
こんな学生コーチの立場は海星ではキャプテンより上にあたるという。

5列になってランニングスタート!
その列はとても綺麗で、練習着も白か黒で統一されており
他校のTシャツを着ているような子はいない。
本格的な練習が始まる前、加藤監督は選手を集めた。
選手の片手には筆記用具。みんな真剣に監督の言葉をメモする。
そういえば、今まで行った学校の中にこういう学校はなかった。
風でノートのページがめくれたとき、今までのアドバイスや注意書きも
いっぱい書いてあったのが見えた。学校の授業と同じで
言われたことは後で忘れてしまいがち。メモ書きすることはいいことだと思う。

 
レガースを付けているのが山崎キャプテン                 木村くんのノートは校章マークが☆

内外野に分かれてノックがスタート。
外野は主にアメリカンで、野口コーチは手が届きそうで届かないきわどいところに
打つ。選手は辛そうだが、コーチとボールを渡す子は実に楽しそう。
「(辛そうにしているのは)演技だ、演技!そう思うよな?」
「(ニコニコ)」
終盤、ノルマ達成者から次のメニューに移るのだが
「今のなし!」「もう一回!」とフラフラになった選手にも容赦なくアメリカンの嵐。
取り損ねた場所からスタート地点に戻るまでも、人が少なくなってくると
すぐに順番がまわってくるため一苦労だ。
内野ではひさびさに加藤監督がバットを握ってノック。
その隣で学生コーチもノック。部員は1、2年生だけで50人で
各ポジションに最低4人はいるため二人でノックをすると、全員に効率良くまわる。


声がよく出てました

今年のチームはどちらかといえば打撃のチームだ。
主将の山崎大志くん、台頭の著しい川口健太くんの主軸を中心に
5月のNHK旗では、1試合平均6、8得点(6試合)をマーク。
ただし、好投手左腕・川口一弥の長崎南山には
秋の地区予選と春の準々決勝ともに敗れている。
ディフェンスは粘り強いエースの小川亮太くんや濱口智章くんなど
層は厚い。秋、春ともにベスト8止まりの海星だが
「夏に強い」という枕詞は健在。2年ぶりの甲子園を目指す。

バッティング練習では、この広いグランドを有効活用。
ゲージは全部で5つあり、3つはフリーバッティング用(2つはマシン)
残り2つは1、3塁のファールゾーンでバント練習で使用していた。
ライト側ファールゾーンは二人の投手がピッチング練習しており
そのほか空いているところを見つけては、トスバッティングをしている。
外野でボール拾いをしている選手もいて、ぼーっとしている選手はいない。
気付けば飛んだボールを拾いに走っていく選手の姿も。
このボール拾い用のカートがナイスアイディアだ。
スーパーにあるようなカートを押して、外野とマシンの間を行ったり来たり!
打球音とともに、「ガラガラガラ」という音がグランドに響き渡る。
一塁側のベンチ横で見ていると、バットとトンボの数の多さに驚いた。
「バットは多いね。一人2本は行き渡るんじゃないかな」と監督。
トンボも練習後ほぼ全員が持っていたため、50本近くあるということになる。

 
手前にいる子、バット選ぶのに悩んでました(笑)   このカート、ナイスアイディア!

 
一塁ファールグランドでバント練習、その後ろでトス(写真左)、そのまた後ろ(ライト)で投げ込み

練習後、監督は再び選手を集めた。もちろん選手の手元にはノート。
「動くときはダッシュで、気の利いたうるさい声を出そう。
ダラダラした声を出すときはトーナメントでは勝てない」
監督曰く、長崎の子供は他の九州の選手に比べ、競争心が足りないという。
全体練習を終えると、すぐに帰る組と居残り組に分かれた。
帰る組は野口コーチのバスに乗車、学校に行くまでの間に
家がある子はその近くで降ろす。
加藤監督は居残り組の練習が終わるまで待つ。
前のグランドも市街地から遠く、実は居残り練習する生徒は少なかったという。
「でも、宮脇が居残り練習の習慣を作ったんですよ」
宮脇とは、2001年センバツ出場時のファーストで
現在明治大学野球部に在籍する宮脇省吾さんのことだ。
先輩の作った伝統は、今しっかりと現役に受け継がれている。
今年で創部90年、海星がいっそう輝きを増すことを願いたい。


ちょっぴり大人っぽい雰囲気漂う海星でした

この3人の差、すごくないですか?
左・川口健太くん、2年生、188センチ
中・高平  優くん、2年生、147センチ
右・山口優誠くん、3年生、190センチ
ちょっぴり高平くんが嫌がってましたが(笑)
新聞や雑誌に載るわけじゃないと説得してポーズ。
でも甲子園に出たら、絶対取り上げられると思うよ?
ちなみに海星の平均身長は170.7センチだそう。

-------海星高校グランド、Before&After!

帰りは偶然グランドにいらっしゃっていた長崎シニアの若松猛監督に
市街地まで送っていただきました。(バスが無いのでとっても助かりました)
帰り道の途中に、これまで使っていたグランドがあると聞き
連れて行っていただきました!
前のグランドもやっぱり山の上・・・さすが坂道の多い長崎です!

Before
 
ホームから外野を望む。せ、せまい・・・            グランドから長崎市方面の景色。夜景が最高!
After
 
外野にあんなかっこいいネットが!               客席にはオシャレな石のイス♪

 
オランダ坂の上に海星はあります!  生まれた年に甲子園出場していました

 

*Special Thanks  和田義昭部長、加藤慶二監督、野口等コーチ、海星高校野球部の皆さん、
             若松猛さん
(長崎シニア監督)、この場をお借りして、本当にどうもありがとうございました!

 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送