トップアマ野球観戦記74回センバツ>因縁

どうせ見るなら,その試合背景を知ってもらいたい。
ここまでくるのに色々なことがあった。試合中,そんなことを思い出しながら
観戦してほしい。そう思って15分で書き上げました(爆)
試合内容が良くなかったとしても,それはそれでいい。
興味のある方のみ(短くまとめられなくて,長くなった…)で構いません。
言うまでもなく,明日(4/3)の第二試合の序章です。

因 縁

「負けられない相手です」

と、口をそろえたのは関西のエース・宮本と
尽誠学園の捕手・村田。

明日の準々決勝第2試合、両者ともに譲ることのできない試合が
始まろうとしている。
昨春の選抜、これと同じカードが2回戦で行われた。
マウンドには宮本がのぼり、試合開始のサイレンが鳴る。
それから数分もしないうちに、先頭打者・坂口(関西大)の打球が
ライトスタンドに入った。そして、再び3番・坂田(駒澤大)もライトへ。
初回、2失点。しかし、それ以降は1失点に抑えた。
関西も6回に1点を返す、宮本自身が放ったタイムリーだった。
その差2点、あの初回の2点は大きかった。
そのまま、関西は1−3で敗退。「夏にまた来ます」と甲子園を去るも
その夏、甲子園に戻ってこなかった。

勝った尽誠は準々決勝で関西創価にサヨナラ負けを喫す。
選手に涙は無かった。当時、ベンチに入っていたのは村田と今田だけだが
もちろんその瞬間を目の当たりにしている。
「来年、絶対にベスト4以上に進もうな」 そんな会話があったかもしれない。
そして、関西とは対照的に熱い夏がやってきた。
このときも、村田と今田はベンチ入りした。初戦の相手は習志野。
佐々木(習志野市役所)のフォークが想像以上に落ちる。
夏はたったの4本のヒットを打って、終わってしまった。
大会後、今田は坂田からグラブを貰った。「宝物です」と目を輝かせ
先輩達の届かなかったベスト4以上に進むことを約束した。

その間に関西は宮本を中心とした新しいチームが出来あがっていた。
昨年は河本(新日鉄君津)、杭田(國學院大)といった強打者が揃っていたが
今年はそういうチームではない。これは尽誠も同じだったが
堅い守備が評判だったのに、練習試合後、相手監督からは
「今年の尽誠さんは守備が悪いですね」とキツイ一言を受けたという。

秋、両校は各大会を制し、神宮大会に出場した。
ここでも同じく2回戦で戦うことになった。前評判がどうだったか知らないが
見ていた私としては、まさかこれほどの得点差が出るとは思わなかった。
8回コールド、10−3、軍配は関西に上がった。
指摘された守備面で課題の出た尽誠。関西より一足早くに寒い冬を迎えた。
もちろん、甲子園ベスト4と打倒・関西を掲げながら。

この試合、関西のトップバッター・多胡が光った。
先発全員安打だったが、多胡は4安打と打ちまくった。
多胡は神宮で行われた3試合全てでヒットを打ち、先頭打者としての役割を果たす。
今大会九州学院戦でも多胡のおかげで勝ったといってもいいくらいだった。
とにかく塁に出て、走って走って走って!3盗まで決めてしまった。
角田監督は「そんなサイン出していない」と苦笑い。
九州学院に傾きかけていた流れを何度も、味方に引き寄せた。
アルプスからミニモニの歌が流れたら、多胡の打順だ。

「負けられない相手です」と口をそろえた二人だが、実は同じチームメイトとして
行動をともにしていたこともある。
神宮大会終了後のアジア選抜。宮本-萬浪、井上-村田バッテリーは
メンバーに選ばれた。「凄く勉強になった」とは村田。
ときには仲間だったアイツが、明日は敵。
村田の頭の中は「どうやって二人を打ち取るか」としか考えていない。
もちろん、それは萬浪も同じだ。
それぞれの思いを胸に、11時、甲子園のサイレンが鳴る。

 

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