トップ第86回全国高校野球選手権/北海道の野球>大旗が北の大地へ〜優勝・駒大苫小牧

大旗が北の大地へ

優勝・駒大苫小牧

まずは甲子園1勝。嬉し涙を流します
南大会を終えた駒大苫小牧ナインは口を揃えた。
甲子園1勝、道勢50勝が目標だったチームが
一気に全国の主役となった

試練の冬を乗り越えて

昨秋、3季連続甲子園を目指したチームは
全道大会決勝で鵡川に敗れた。
先発した鈴木康仁、つづく吉岡俊輔が打ち込まれ7失点。
中盤で勝負が決まってしまった。

訪れた寒い冬。
室内練習場には鋭い金属音が響いた。
ストレート、左右カーブのマシン相手に夢中でバットを振った。
芯に当たらないと、手に激痛が走る。
連続して30球を20セットとかやっていた。地獄だった。
でも、痛いとか言っていられなかった

その間、甲子園経験者のケガが相次いだ。
鈴木が左ヒジを痛め戦列を離れれば、桑島優も右ヒジを手術。
一時は野球を辞めようかと思ったときもあった」(桑島)
仲間でありライバルの選手たちはその間に結果を残していく。
春の全道大会決勝戦も主力の多くはベンチにいた。
それでも15得点をマークしている。
五十嵐大も5日間だけ入院していたという。
たった5日間だけでも、(練習に出ないとまわりと)差が出てしまうと
思って、とにかく焦った

それだけ選手層のあるチームだった。


先輩たちの分まで

 

苦しかった南大会

正直、春から苦しかった。優勝候補と言われ、何とかしてあげたいと。
いろんな思いが募れば募るほど、僕自身も苦しかった。
(昨夏の)悔しい思いを、このチームにこたえてほしいという
気持ちが強かっただけに最高です

香田誉士史監督は甲子園行きを決めた直後、こう話していた。
甲子園では快進撃に顔をクシャクシャにしていたが
南大会中は淡々としていた。
クールな監督というイメージが少し崩れたのが
南大会で最も苦しかった準決勝、東海大四戦。
監督も思わず「しびれた」。

東 010 001 000
駒 100 000 011/

  四高の先発はエース・前口良太ではなく、背番号11の斉藤貴章。
この奇策にチームも驚いた。
4番・原田勝也の先制適時打で立ち上がりこそ攻めるも
その後は全く快音が聞かれなかった。
コーナーをつく丁寧なピッチングに翻弄され
いつの間にか逆転を許していた。
特に2度あったチャンスの場面で見逃しが多かった糸屋義典には
振れ!立って球を見ることなら赤ちゃんでもできる」とゲキを飛ばした。
甲子園では絶好調だった糸屋だが
実はこの準決勝と決勝では8打数0安打と全く打てていなかった。

8回、2死からまたもや原田の適時打で同点に追いついた。
逆にこの原田は南大会絶好調だった。
チャンスの場面では必ず外野に鋭い打球が飛んでいた。
甲子園ではあまり調子が良くなかったが
原田の活躍なしでは甲子園出場は無かったと言っていい。
そして9回。
大きく深呼吸をして打席に入った桑島の当たりは左翼を超える二塁打。
みんなが打たないときに打つような子」(監督)
そして、途中からサードのポジションに入っていた五十嵐が
追い込まれてからの4球目を左前へ運び、歓喜の輪ができた。
監督として、どうしようかなと思っていた・・・
もっとコンパクトに振れ、強い球を打てと言ってきた。
終盤嫌な感じはありましたが、五十嵐がよく打ってくれた

五十嵐は翌日の決勝でスタメンに抜擢。
甲子園前に16だった背番号が5になった。  

“嫌な感じ”を振り切ったのは、6回途中からマウンドにのぼった鈴木だった。
昨秋決勝戦以来の公式戦だった。
窮地に立たされた監督は、「おまえしかいない」と遂に鈴木を送り出した。
一死1、2塁という場面で登場し、暴投で逆転を許してしまうが
2者連続三振。7、8回も4三振を含む三者凡退にしとめ
味方の逆転に良い流れを持ってきた。
甲子園でもあったように、鈴木はとんでもないところでマウンドにやってくる。
それだけチームの信頼も厚い、
岩田聖司も「後ろに鈴木がいるから安心して投げられる」。
決勝では今季公式戦初登板の松橋拓也がマウンドへ。
もって3回。予想以上の出来でした」と、5回を投げ先輩に後を託した。
鈴木の復活、五十嵐、松橋の台頭と苦しい中で自然と選手が成長していた。

甲子園行きを決めた直後、18人の選手に短いコメントを取りに行った。
まずは甲子園1勝。そして全国制覇です」と言う選手がほとんどだったが
実は鈴木だけ、「甲子園1勝」だけだった。
“みんな、全国制覇って言ってるよーいいの(笑)?”と言うと
焦ったように、「あ、はい。全国制覇です」と笑っていた。
実際に全国制覇が現実になると
優勝できるなんて思っていなかったです・・・」と本音を漏らした。


道勢50勝と悲願の初勝利に喜ぶ

甲子園でもいつも通りの野球

北海道の予選は、南大会をむかえる前に支部予選というものがある。
駒大苫小牧は、現在最も激戦と呼ばれている室蘭地区に所属し
決勝の相手だった北海道栄、支部代表決定戦で戦った鵡川などがいる。
支部予選を勝ち抜いてきたのは16チーム。
その中で、打率は6位、防御率は4位と
決してずば抜けてた数字は残していない。
南大会に入ってからも、113打数35安打、.310だった。
甲子園では大会最高打率を塗り替えるなど、「強打」のイメージがあるが
道予選ではそこまで打ち勝ったとは思えなかった。
むしろ、相手のミスにつけこむ野球を展開していた。

自分達の野球?打線に切れ目がないことです」(佐々木優)
4番の原田でさえ、済美との対決を直前に
バントをしっかりしたい」と言っていた。
決めた2つのバントは、いずれも得点に絡み
特に8回の13点目のランナーを進めたバントは
上甲正典監督も「痛かった」と言うくらいだった。

注目すべきは甲子園5試合で僅か15個しかない三振。
道予選でも、7試合で18個と1試合平均3個以下だったのが
甲子園でも持続された。
失策も1つだけ。道予選では7試合で3つだったが
そのうち2つは同じ選手が連続エラーしたものだった。
北海道のチームといえば、エラーなどで自滅してしまうパターンが多いが
全国舞台にきても、予選通りの野球ができ
横浜戦のスクイズ外しなども落ち着いていたように
基本に忠実なプレーが随所で光った。

また「北海道の気候でやれている」(桑島)と言うように
朝方の涼しい時間帯での試合が連続したことなど
炎天下での試合が無かったことも大きかった。
準決勝は第二試合だったが、天気は曇り。
一番暑かったのは、恐らく決勝戦だろう。


総立ちの三塁側が道産子を祝福

気持ちがつないだ優勝

昨春・夏も甲子園を経験しているのが強みだろうが
内野の2年生二人、林裕也と五十嵐は今回が初めてだ。
その間に立つ遊撃手の佐々木孝介主将から二人に
ミスを恐れず思いっきりやれ」と何度も声をかけられ、気楽にできたという。
その佐々木は、大会序盤全く打てなかった。
佐世保実、日大三戦を終え打率は.250。
後を打つ糸屋が1.000と当たっていただけに表情は冴えなかった。
しかし、大事な大事な決勝戦で逆転の決勝適時打を放った。
一塁ベース上で見せた気持ちのこもったガッツポーズが印象強い。

駒大苫小牧の投手陣も、準決勝を迎える前から疲労の限界がきていた。
日程的にも苦しかったが、昨年泣かされた雨が駒大苫小牧に味方した。
雨で準決勝が一日延びた。
横浜のエース・涌井秀章は「一日延びない方が良かった」。

決勝戦、マウンドの鈴木のユニフォームは泥だらけだった。
こんな胴上げ投手は久々だ。
最終回は握力が無くなり「気持ちだけで投げた」。
しかし、心はただ目の前のバッターを倒すことだけに集中していた。
気迫だけはどのチームのピッチャーにも負けない」(津島英利/ブルペン捕手)
気持ちだけは決して力尽きることなく
最後は嬉し涙でいっぱいの佐々木孝のグラブにウィニングボールがおさまった。

 


スコアボード、2人足りないけど優勝メンバー、そして「86回」の文字

甲子園大会中のエピソード(掲示板より)

とにかく選手の写真

南大会などの写真、記事

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一人の選手がきっかけで出会った昨春。
追いかけて悔しい思いをした昨夏。
「知りたい、話を聞きたい」という強い思いで
南大会にまで行った7月。
それだけの強い思いがこのチームにはありました。
最高の夏を過ごすことができました。
感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとう。

<甲子園大会>

済美 230 013 010 10
駒苫 102 303 31/  13

甲府 003 002 201 
駒苫 022 330 00/ 10

駒苫 011 020 200 
横浜 000 001 000 

三高 002 000 022 
駒苫 121 000 03/ 

佐実 001 100 010 
駒苫 002 110 21/ 

<南北海道大会>

道栄 000 101 010 
駒苫 100 310 01/ 

四高 010 001 000 
駒苫 100 000 011 

慶祥 010 001 0   
駒苫 020 041 2   9

駒苫 200 130 2   
森   000 200 0   1

<室蘭地区代表予選>

鵡川 000 000 0   0
駒苫 013 100 1   7

苫西 000 000 0   
駒苫 010 412 1   

静内 000 001 00  
駒苫 102 002 21  

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